あらすじ
高校時代から片思いをしていた相手が夫から壮絶なDVを受けていることを知り、その夫を殺害したレイ。罪から逃げる2人は、極限の愛と憎しみの間で揺れ動く。
レビュー
◎ 良かった点
キャスティングとその方々の演技には引き込まれました。水原希子の演技は安定して良かったです。
個人的に印象に残ったのがさとうほなみでした。「どこかで見た憶えのあるある顔だなぁ」となんとなく感じていたのですが、「ゲスの極み乙女。」のドラマーの方だったんですね。ここまで演技が出来る方だとは知りませんでした。感動です。
ふたりとも濡れ場のシーンがあったのですが、刺激の強い映像に負けないような存在感のある演技をされていました。
あと水原希子の兄役の人が、水原希子に対して自首を促すシーンがあるのですが、そこの「正しいことを言ってはいるんだけど、なんか響かない」感じのセリフ回しの演技が凄く好きでした。
「あーなんだろう、言ってることは正しいのに、全然心に響かない(笑)」って感じの。
次は映像です。Netflixのドラマは総じて映像がとてもきれいな印象です。
昨年観た池田エライザ主演の「Followers」を視聴した際にも感じたのですが、Netflix作品は東京の夜の町並みが本当にきれいに映されていると感じます。Netflix作品全体を通して好きなところです。
△ 気になった点
登場人物の内面に共感できないところがあり、物語に没頭できなかったのが残念でした。
同性愛を扱っている作品だからというわけではありません。
主人公が過去に片思いしていた相手は、現在夫からDVを受けており苦しんでいる
→ その相手を守るために、DV夫を代わりに殺害する
この流れが今いち共感することが出来ませんでした。
自分の好きな人を守るための行動として殺害を選択したと思うのですが、本当にその方法じゃないと守れなかったの?という疑問がつきまといました。
もしDVの現場に偶然居合わせることになり、衝動的に殺してしまったというのならある程度納得できました。
しかしDV被害を知った上で、日を改めて殺人を犯しています。
この時間があれば、殺人を犯さなくても”自分の好きな人を守る”という目的を達成する手段を考えられたと思います。
そこがいまいち共感・納得出来ない部分でした。
DV夫を殺害した後は2人で逃避行をするわけですが、その中で殺人を犯してしまったことに対する葛藤の描写が何度も出てきます。
その中で2人は感情的なぶつかり合いをするわけです。
ですが、「そもそも殺さずにそのまま2人で駆け落ちするという方法でも、DVから守ることはできたじゃないか」という虚しさばかりがこみ上げてきてきます。現に2人は人を殺してしまったことに葛藤しているわけですから後悔はしているはずです。
自分が好きな人に暴力を振るう男を絶対に許せない!殺してやりたい!というのならば経緯として理解できますが、片思いの相手を守りたいという目的であれば、別の幸せな道を選べたのでは?と考えてします。人間はいざ自分が当事者になると、そこまで合理的に行動できるわけではないんだよ、ということなのでしょうか。
作品を視聴していて「人を殺せるほど自分にとって大切な人はいるか?」というテーマを感じました。
実際このようなセリフが作中に何度か出てきます。
ここが殺人を犯してしまったことに対する納得性を持たせている部分なのかな?という印象を受けました。
しかし、人を殺さなくても問題を回避できるなら、わざわざそれをする必要は無いよね?というのが自分の感想です。